memo: 9 October, 2015



 




「透明素材が生み出す独特の奥行き感を、ぼくは「重奏する奥行」と呼んだことがある。
向こう側に透けて見える部分と手前側に映る部分とが、重なりあいながら微妙に変化しつづけるさまを、音楽にたとえて、そう呼んだわけだけど、シューコ・ワールドにはそのエッセンスのようなものがあるんだな。そして、この重奏は、幾重にも広がっていくようだ。作品と周囲環境との重奏、聴覚と視覚との重奏、作品と自然との重奏などにね。
(中略)
シューコ・ワールドのひとつひとつの作品は、サイズ的には小さいかもしれないけれど、それが重奏させるものは、まさにきわめて大きいといえるだろうね。」

(「現代作家紹介」シューコ・ワールドをめぐるカッコ氏との対話: 篠原資明/美術フォーラム21 第28号 2013年発行)




遠近法といえば、まず透視遠近法のことが思い出されるが、
赤よりも青の方が奥まってみえるように、色によって遠近の差が表れる色の遠近法や、
油絵などでは、絵具の起伏、厚みによって遠近を表す方法もある。
そして、透明素材や反射反映素材の登場により、映り込みによる遠近感も生まれた。
それを"重奏する奥行"と呼んでいて、それは見る人の立ち位置、角度によって、少しのことで変化する。「まぶさび素材」は変化する。

(10月3日「鼎談: 超少女たちとまぶさび宇宙」/メモより、篠原氏の言葉。実際のお話の内容とは、異なる箇所があります。ご了承ください。)